多言語対応とグローバル展開

多言語対応におすすめのCMS5選|選び方のポイントと導入の注意点を解説

2025.06.13

多言語対応CMSとは?

多言語対応CMSとは、1つのウェブサイトで日本語だけでなく、英語や中国語など、いくつもの言語でページを作って管理できる仕組みのこと。

通常のCMS(コンテンツ管理システム)は日本語だけで使うことが多いですが、海外の人にも見てもらいたい場合には、多言語に対応しているCMSが役立ちます。

たとえば、1つのページを作ったあと、同じ内容を英語や中国語に翻訳して、言語ごとに表示を切り替えるように設定できます。CMSによっては、言語切り替えのボタンが自動でついていたり、ページのURLを言語ごとに分けてくれたりする機能もあります。

つまり、多言語対応CMSを使うと、海外向けのページもまとめて楽に管理できるようになり、世界中の人に自分のサイトを見てもらいやすくなります。

多言語対応CMSが必要になるシーン

多言語対応CMSが必要になるのは、外国の人にもサイトを見てもらいたいときです。たとえば、観光地を紹介するサイトで外国人観光客に情報を届けたいときや、海外にも商品を売りたいECサイトを作りたいとき、海外に支社がある会社のコーポレートサイトなどが当てはまります。

こうした場合、言語ごとに別々のサイトを作るのはとても大変ですし、間違いや更新漏れも起きやすくなります。しかし、多言語対応CMSなら、ひとつの場所で全部の言語のページをまとめて管理できるので、安心して使えます。

多言語対応CMSを選ぶポイント

Webサイトを複数の言語で展開する場合、多言語対応CMSの選定は成功のカギを握ります。 選ぶ際には、単に翻訳できるかどうかだけでなく、運用や拡張性まで含めてチェックすることが重要。以下では、多言語対応CMSを選ぶ際に確認すべき主要なポイントを紹介します。

言語ごとに異なるURLを設定できるか

多言語対応CMSを選定する際には、言語ごとに異なるURLを設定できるかどうかを確認することが重要。

検索エンジンはURL構造を通じてページの言語を認識しているため、SEO(検索エンジン最適化)にも影響します。

たとえば、「/en/」「/ja/」「/de/」のようにURLを分けて言語を管理することで、それぞれの言語ページが検索エンジンに正確に評価されやすくなります。

CMSがこうしたURL構造を柔軟に設定できる機能を備えているかどうかは、初期段階で必ず確認しておくべき要素です。

CMSの使いやすさ

多言語対応を前提とした運用では、CMS自体の使いやすさが作業効率に大きく影響します。

言語別にページを複製・翻訳する作業が頻繁に発生するため、直感的に作業しやすいことが望ましいです。

たとえば、WordPressは多言語対応プラグインが豊富で、非技術者でも扱いやすい点が評価されています。

CMSの操作性が高ければ、日常的な運用負荷を軽減でき、チーム全体の業務効率も向上します。

言語を追加する際のコストが低いこと

多言語展開は段階的に進めるケースが一般的であり、初期対応後に追加の言語を増やしていくことも多くあります。

そのため、言語を追加する際の費用や作業負荷が少ないCMSを選ぶことが、将来的な運用の柔軟性につながります。

一部のCMSでは言語追加ごとにライセンス費が発生する場合がありますが、オープンソース型のCMSや言語追加に制限のないサービスを選択すれば、長期的にコストを抑えることが可能です。

初期導入時だけでなく、今後の展開も見据えたCMSの選定が求められます。

外部ツールと連携できること

多言語運用を効率的に進めるためには、CMSが外部ツールと連携できるかどうかも重要です。

翻訳支援ツール、マーケティングプラットフォーム、アクセス解析ツールなどとの連携により、作業の自動化や精度向上が期待できます。

たとえば、Google翻訳APIやDeepLとの接続により、初期翻訳作業の効率が向上し、マーケティングツールとの連携によって、言語別のコンテンツ分析も容易になります。

CMSにこうした柔軟な連携機能が備わっているかを事前に確認しておくと、運用時に活かせるでしょう。

管理画面でも多言語に対応しているか

CMSの管理画面が多言語対応しているかどうかも見逃せないポイントです。国際的なチームで運用を行う場合や、現地スタッフによるコンテンツ更新がある場合、管理画面の表示言語が選択可能であることは、作業の正確性と効率性に直結します。

たとえば、DrupalやJoomlaなどのCMSは、管理画面の言語をユーザーごとに設定できる機能を備えており、グローバルチームでの運用に適しています。管理面の使いやすさは、運用負荷の軽減にもつながるため、選定時に必ず確認すべき要素です。

おすすめの多言語対応CMS5選

多言語対応のCMSにはさまざまな種類があり、それぞれに異なる強みがあります。どのCMSを選ぶかによって、サイト構築の柔軟性や運用の効率性が大きく変わるため、自社の目的やリソースに合ったツールを選定することが重要。 ここでは、特に多言語対応に優れた代表的なCMSを5つ紹介します。

WordPress

WordPressは、世界中で最も広く利用されているオープンソースCMSの一つであり、多言語対応にも優れています。
豊富なプラグインが用意されており、「WPML」や「Polylang」などを使えば、多言語サイトの構築が比較的容易に行えます。

実際に、管理画面から翻訳ページの作成や言語切替の設定ができ、SEO対応も柔軟に行えるため、専門的な知識がなくても高機能な多言語サイトが運用可能です。

また、テーマやプラグインの多さにより、デザインや機能面でも自由度が高く、あらゆる業種に適応できる点も魅力です。

コストを抑えながら、多言語展開を進めたい企業には特におすすめの選択肢です。

Drupal

Drupalは、大規模サイト向けに人気のあるCMS。

最初から多言語機能が備わっており、追加の拡張なしで言語の切り替えや翻訳が行えます。

企業サイトや大学、政府系のサイトなど、複雑な構成や高いセキュリティが求められる場面でよく使われています。細かい設定ができる分、使いこなすには少し知識が必要ですが、慣れればとても強力です。

本格的に多言語展開をしたいプロジェクトにおすすめです。

Joomla

Joomlaは、WordPressと同様にオープンソースで提供されているCMSで、コア機能として多言語対応を備えている点が特徴。

初期段階から複数言語に対応でき、追加プラグインに頼ることなく基本的な多言語サイトを構築できます。

具体的には、メニュー、記事、モジュールを言語別に紐づけることで、ユーザーに対して自然な切り替え体験を提供できます。中規模サイトで柔軟に言語を管理したいケースに適しており、設定次第でかなり細かいカスタマイズも可能です。

学習コストはやや高めですが、多言語運用の自由度を求める人に適したCMSです。

Webflow

Webflowは、コードを書かずにデザインから公開までできるCMSです。多言語対応は標準ではありませんが、「Weglot」などの外部サービスを使うことでスムーズに実現できます。

とくに、見た目のきれいなサイトを短期間で作りたいときに力を発揮します。デザイン性と操作性のバランスがよく、Webの専門知識がなくても洗練されたサイトがつくれます。

スピードとデザイン重視で、多言語対応もしたい方に向いています。

Shopify

Shopifyは、ネットショップをかんたんに作れるCMSで、多言語対応にも対応しています。専用のアプリや機能を使えば、商品説明や購入画面などを複数の言語で表示できます。

「Shopify Markets」という機能を使えば、言語だけでなく、通貨や地域ごとの税金の設定までできるため、海外向けのECサイトにとても便利です。

これから海外にも販売を広げたいネットショップ運営者におすすめです。

CMSで多言語サイトを制作する際の注意点

CMSを使えば多言語サイトを効率よく構築できますが、いくつか注意すべき点があります。ただ翻訳を用意するだけでは、ユーザーにとって使いやすいサイトにはなりません。ここでは、特に意識しておきたい3つのポイントをご紹介します。

コンテンツの一貫性に気を付ける

多言語サイトを作る際は、すべての言語でコンテンツの一貫性を保つことが重要。

言語ごとに情報の量や内容に差があると、ユーザーが混乱したり、不信感を持ったりする可能性があります。

たとえば、日本語サイトには載っている情報が英語版にはない、あるいは更新されていない、といった状態は避けるべきです。こうしたずれを防ぐためには、ページごとの翻訳管理ができるCMSの機能を活用し、定期的にコンテンツをチェックする運用体制を整えることが求められます。

どの言語でも同じように情報を伝えることで、ユーザー体験の質を高く保つことができます。

翻訳の品質を担保する

多言語サイトのクオリティは、翻訳の正確さと自然さに大きく左右されます。 直訳や不自然な文章では、ブランドのイメージダウンにつながり、訪問者の離脱を招く恐れがあります。 実際、機械翻訳だけに頼ったサイトは、表現が不自然になりやすく、ユーザーに不信感を与えることもあります。そのため、翻訳は可能な限りプロの翻訳者に依頼し、文化や文脈に配慮した内容に仕上げることが望ましいです。 CMSによっては、翻訳ワークフローを組み込めるプラグインや外部サービスとの連携機能もあるため、それらを活用するのも一つの方法です。

レイアウトが崩れないようにデザインを調整する

言語によって文字数や単語の長さが異なるため、レイアウト崩れが発生しやすい点にも注意が必要です。 特に、英語からドイツ語、あるいは日本語からアラビア語のように、言語構造が大きく異なる場合は、ボタンやメニューがはみ出したり、改行がずれて見栄えが悪くなることがあります。 たとえば、ドイツ語のボタンテキストが長く、スマートフォン画面ではみ出してしまうケースは珍しくありません。 こうした事態を防ぐためには、CMSのテンプレートやテーマを多言語対応に設計したり、レスポンシブデザインを徹底することが重要です。 事前に各言語での表示をテストし、調整を行うことで、見やすく統一感のあるサイトを保つことができます。

多言語対応のCMSについてよくある質問

多言語サイトをCMSで制作する際、よく寄せられる質問があります。ここでは特に多い3つの疑問に対して、わかりやすくお答えします。

多言語対応とは何ですか?

多言語対応とは、ウェブサイトが複数の言語で閲覧できるようになっている状態のこと。 これにより、異なる言語を話すユーザーにも情報を正確に届けることができます。 たとえば、日本語だけでなく英語、中国語、スペイン語など、ユーザーの母国語で同じコンテンツを提供することで、グローバルな顧客にも対応できるのが特徴です。 実際、多言語対応している企業サイトでは、海外からの問い合わせや販売チャンスが増える傾向にあります。CMSではこの機能をプラグインやテーマ、または標準機能で実現できる場合が多く、導入のハードルも下がっています。

多言語対応のホームページを作るのにかかる費用は?

多言語対応のホームページ制作にかかる費用は、規模や対応言語数、翻訳方法によって大きく異なります。 基本的な構成であれば、CMSの導入費用やテーマ費用に加えて、1言語あたりの翻訳費(数万円〜)が発生するのが一般的です。 WordPressで3言語対応サイトを作る場合、翻訳を外注すれば総額で30万円〜100万円程度になることも。一方、機械翻訳や自動翻訳プラグインを使えば初期費用は抑えられますが、品質面ではやや劣る場合があります。 費用対効果を考えながら、自社にとって最適な方法を選ぶことが大切です。

多言語通訳サポートとは何ですか?

多言語通訳サポートとは、ウェブサイト運営やオンラインサービスの中で、リアルタイムで複数言語に対応できる通訳サービスのこと。 特に電話やチャット、ビデオ通話などで外国語のお客様対応が必要な場面で活用されます。 たとえば、外国人観光客向けのサービスを提供する企業では、問い合わせに通訳オペレーターが入り、スムーズなコミュニケーションを支援します。 最近では、CMSとチャットボット、またはカスタマーサポートツールと連携して、多言語通訳サポートを導入する企業も増えています。 こうした機能を備えることで、顧客満足度を高め、より幅広い市場へのアプローチが可能になります。

【まとめ】多言語のCMSを選ぶときのポイント

多言語対応のCMSを選ぶときは、「使いやすさ」と「拡張性」が重要です。言語ごとのコンテンツ管理がしやすく、翻訳の切り替えや更新がスムーズに行えるCMSを選びましょう。

例えば、WordPressは多言語プラグインが豊富で初心者にも扱いやすく、将来的に言語や機能を追加しやすい点も魅力です。

また、運用負担を減らすには、翻訳ワークフローの自動化や、チームで管理しやすい仕組みがあると安心です。

要するに、「翻訳できるか」だけでなく、「運用しやすく、成長に対応できるか」を基準に選ぶことが成功のカギです。

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